知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  ルイヴィトン市松模様

 ルイヴィトン社は日本で市松模様の商標登録(第0952582号)を所有しています。指定商品は、第18類の鞄類、財布、傘などです。
 京都のある企業Aが市松模様の珠数入れ、経本入れ、御朱印帳入れ等の袋物を製造し、別の企業BのWEBサイト上で販売していたところ、ルイヴィトン社が企業Bに対して商標権侵害の警告をしてきました。
 そこで、企業Aは、市松模様の珠数入れ、経本入れ、御朱印帳入れ等の袋物がルイヴィトン社の商標権侵害に該当しないことを特許庁に判定してもらう判定請求を起こしました。判定制度とは、侵害に該当するかどうかについての客観的な判断を特許庁にしてもらうものであって、法的拘束力はなく、一種の鑑定に近いものです。
 特許庁の判定の結果は、判定対象の標章(イ号標章)は、ルイヴィトン社の商標権侵害に該当しないというものでした。
 判定の理由として、「イ号標章は、使用商品の全面に付されているものであって、布地などに用いられる日本古来の模様として広く一般に知られている「市松模様」と同様の態様であり、パンフレットにおいて、「市松模様」、「市松柄」及び「市松生地」の語が、使用商品の布地の模様を表すものとして記載されていることを併せてみれば、イ号標章は、使用商品である「珠数入れ、経本入れ、御朱印帳入れ等の袋物」に使用される布地の模様である市松模様として認識されるにすぎない。したがってイ号標章は、その使用商品との関係において、当該商品の布地全面の模様として使用された、日本古来の模様として広く一般に知られ、親しまれている市松模様にすぎないから、自他商品の識別標識として機能するような態様で使用されているものとはいえない。」というものでした。

弁理士 傳田 正彦

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