知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(31)

Q:産業財産権の存続期間(権利期間)について教えて下さい。

A:「産業財産権」(以前は、「工業所有権」と呼ばれていました)には、特許権・実用新案権・意匠権・商標権があります。
 まず、特許権の存続期間は、出願の日から20年となっています。ただし、ご存知の通り、特許権は出願しただけでは付与されません。つまり、特許庁への「審査請求」を行って、審査官による審査を経た上で、拒絶する理由がなかった場合に初めて権利として登録されます。したがって、仮に特許権の付与が出願の日から5年後だったとすると、特許権としては、残りの15年間が権利の効力期間ということになります。
 次に、実用新案権の存続期間は、出願の日から10年となっています。現在、実用新案は「無審査登録制度」、すなわち、内容についての審査が行われずに登録されて権利が発生する制度となっています。通常、出願して2、3か月後には登録証が発行されます。
 次に、意匠権の存続期間ですが、令和元年度の法改正までは、権利の登録日から20年となっていました。しかし、法改正によって、出願の日から25年に改められています。これにより、意匠の保護がより一層、厚くなりました。
 最後に、商標権の存続期間ですが、権利の登録日から10年となっています。ただし、商標権については、存続期間の「更新」が可能です。つまり半永久的に権利を保持することができる制度となっています。これは、他の権利と相違し、存続期間が終了して誰もが著名な商標を使用できるようになってしまうと、出所混同や品質誤認等を生じることとなり、結局、需要者の不利益となるという考えに基づくものです。
 なお、以上は日本の場合であって、各権利の存続期間は国によって異なりますので注意が必要です。

弁理士 岡村 隆志

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