知財関連コラム

第4回 小規模企業等であれば出願審査請求の手数料が軽減されます

特許出願した発明が特許権となるか否かは、特許庁の審査官によって審査される必要があります。
しかし、日本の特許法は、特許出願を行えば審査が自動的に開始される制度を採用しておらず、審査を希望する出願人の請求を待って審査が開始される制度(出願審査請求制度といいます)を採用しております。

これには、費用を掛けてまで権利取得が必要か否かを判断する期間(出願日から3年以内:この期間が経過すると出願審査請求できなくなります)が出願人に与えられ、また審査対象の選別により特許庁の審査負担を軽減させるという狙いがあります。
通常、出願審査請求の手数料(印紙代)ですが、
 ・118,000円+請求項の数×4,000円
となります。例えば、請求項の数が1つですと、122,200円(118,000円+1×4,000円)となります。

この出願審査請求の手数料ですが、小規模企業等であれば出願審査請求の手数料が軽減されます。具体的には、産業競争力強化法に基づく特許料等の軽減措置を受けることで、1/3に軽減されます。例えば、先の請求項の数が1つですと、40,660円となります(10円未満切り捨て)。なお、この軽減措置は、出願審査請求の他にも特許料、国際出願の調査手数料等も軽減される場合があります。
軽減を受けられる対象者は、以下の小規模企業等になります。
 a.小規模の個人事業主(従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下))
 b.事業開始後10年未満の個人事業主
 c.小規模企業(法人)(従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下))
 d.設立後10年未満で資本金3億円以下の法人
 ※c及びdについては、支配法人のいる場合を除きます。
その他、必要な手続をする必要がございます。

出願審査請求に掛かる費用負担がかなり軽減されますので、小規模企業等で特許出願されている方、これから特許出願される方は、ぜひ活用されてはいかがでしょうか。弊所でも軽減措置の手続のお手伝いさせていただき、軽減措置を受けたクライアント様もいらっしゃいます。なお、平成30年3月までに出願審査請求を行う場合が軽減措置の対象となっておりますので、ご注意下さい。

小規模企業等対象の軽減措置の他にも、中小企業対象の外国出願支援事業補助金(平成28年度の募集期間:H28.4.25~H28.6.1)もございます。これらを利用した特許出願等にご関心のある方は弊所までお気軽にお問い合せ下さい。

–Atsushi Kurosaki

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