知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(11)

Q:「間接侵害」という侵害形態があると聞いたのですが、どのようなものでしょうか?

A:知的財産権の侵害形態として、「直接侵害」と「間接侵害」といわれるものがあります。
 特許権の場合を例に挙げますと、「直接侵害」とは、特許請求の範囲(請求項毎となります)に記載された構成要素を全て備える製品を製造したり、販売したりといった場合に適用される通常の侵害形態です。
 これに対して、「間接侵害」とは、特許請求の範囲に記載された構成要素を全て備えていない場合であっても、侵害に準じる行為として禁止されるものです。具体的に説明しますと、例えば、テレビが特許発明品であった場合に、そのテレビの組立てに必要な一切のパーツをセットとして販売するような行為は、テレビそのものを製造したり、販売したりする訳ではないため、直ちに特許権侵害(直接侵害)とはなりません。しかしながら、テレビの組立てセットは、そのテレビを組立てること以外に使用することは考えられず、いずれはその組立てセットが組立てられることによって、特許権侵害(直接侵害)となるテレビが完成することとなります。したがって、特許法においては、侵害品(直接侵害品)の成立につながる一定の行為を侵害行為とみなして禁止しようとする考え方が採られています。これが「間接侵害」といわれる侵害形態です。
 特許権を例として説明しましたが、実用新案権、意匠権、商標権にも、同様に「間接侵害」に該当する行為が規定されています。なお、「間接侵害」行為を行った者は、「直接侵害」と全く同様の処罰対象となりますので、他社の知的財産権に対しては、「直接侵害」に該当しないことだけではなく、「間接侵害」に該当しないように留意することも重要となります。

弁理士 岡村 隆志

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