知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 家紋の商標登録その(1)

 以前より、家紋も商標登録の対象となってきました。有名なところでは「六文銭」の家紋があります。家紋について商標登録出願された場合であっても、指定された商品・役務に対して同一又は類似の商標が存在しなければ登録になっていました。すなわち、使用したい商品・役務において誰も登録していなければ早い者勝ちで登録可能であったのです。ただし、菊花紋章、葵紋は登録不可でした。
 しかし、一昨年より、有名な家紋については菊花紋章、葵紋以外の家紋も拒絶されるようになりました。例えば、「六文銭」、「結び雁金」等が拒絶されています。
 そして、今年の4/1より審査便覧が改訂され、家紋についての取り扱いについて明示されました。改訂審査便覧によると、まず家紋といっても、既存の家紋の改変や新たな家紋の創作がされている現状があることから、現代になって新たに創作された家紋については、識別性(商標の登録要件の1つ)はあるものとしています。
 問題となるのは、伝統的な家紋であって、戦国時代の武家の家紋、神紋、社紋、寺紋、宗紋などです。これら家紋はそもそも識別性が無いということ、また国の機関や地方公共団体、宗教法人等を表すものとして著名になっている場合があるということ、地方公共団体においてイベントや祭り等の地域おこしで使用されるケースが多く、家紋と関係ない第三者が登録するのは社会公共の利益に反する、等が問題点として挙げられています。

弁理士 傳田 正彦

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