知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(4)

Q:展示会で特許出願予定の製品を展示してしまいました。その後、特許を受けることはできないのでしょうか?

A:前回の知財Q&Aコーナーにおいて、展示会で発明の実施品(製品)を展示してしまった場合には、原則として特許を受けることができないことに触れました。

この「展示会」に関して、もう少し詳しく説明しますと、例えば、社員のみを対象とする「社内展示会」のように、守秘義務を負う人のみが見ることができるものである場合には、その発明は「公に知られた状態(公知)」になっていないものとして、特許を受けることができる対象となります。

一方、守秘義務を負わない不特定の人が見ることができる一般的な展示会において展示した場合には、発明が「公知」になったとして特許を受けることができなくなってしまいます。なお、特許を受けるための一つの方法として、「発明の新規性喪失の例外」という救済規定(特許法第30条)の適用が考えられる点は、前回触れた通りです。

ところで、一般的な展示会において展示した場合には、全て「公知」に該当してしまうかといいうと、必ずしも全ての場合が該当するという訳ではありません。

実は、「公知」つまり「公然知られた状態」という場合の、「知られた」は「技術的に理解された」との意味であると解釈されています。したがって、展示はしていても、技術的に理解できる状態には無い場合、具体的な例として、機械の内部に特徴のある発明品についてその外形だけを見せた場合は、「公知」には該当しないとされますので、特許を受けることができる対象となります。

(参考文献:特許法概説/吉藤幸朔著)

弁理士 岡村 隆志

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