知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(3)

Q:発明を公表してしまった場合には、特許は受けられないのでしょうか?

A:原則として、特許を受けることができません。特許の要件として公表されていないこと(「公知でない」と言います)が定められているからです。

しかしながら、以下の場合において例外が認められています。

(1)特許を受ける権利を有する者の意に反して公知になった場合

(2)特許を受ける権利を有する者の行為に起因して公知になった場合

例えば、(1)に該当する具体的事例として、秘密保持契約を締結して発明内容を開示したところ、契約に違反して公表されてしまった場合や、セキュリティーが脆弱で、情報が漏洩してしまった場合、等が挙げられます。

一方、(2)に該当する具体的事例として、学会や論文において発表してしまった場合や、自社ホームページや展示会で発明の実施品(製品)を紹介してしまった場合、等が挙げられます。

上記に該当する場合には、別途、特許庁へ手続をとることにより、公表してしまった発明についても特許を受けることが可能となります。これは、特許法第30条に「発明の新規性喪失の例外」規定として定められており、通称「30条適用」と言われているものです。ただし、公知になってから6ヶ月以内でないと適用が認められません。

このように、公知になってしまった発明が特許を受けられるように救済するための規定が設けられてはいるのですが、この規定は万能な訳ではありません。例えば、公表後に他人が先に出願をしてしまった場合には対抗することができませんし、あくまでも日本の法律なので外国での出願には適用されない、等のリスクは知っておく必要があります。やはり、発明を公表する前に出願を済ませることが大前提と考えて下さい。

弁理士 岡村 隆志

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