知財関連コラム

特許実務雑感1

 今回から特許実務等に関する話題を取り上げて記載することになりました。尚、あくまでここで記載する内容は、私個人の見解であって、事務所や弁理士等の統一見解でないことは予めお断り申し上げておきます。

 私がこの業界に入ってから30年余り経過しようとしていますが、特許業界を取り巻く環境は激変している。出願内容の変化もさることながら、何といっても、特許・実用新案の国内出願件数がリーマンショック(2008年)前後で激減したことが挙げられる。大まかな数字ではあるが、今から十数年前くらいには、国内出願件数は40万件前後で推移していたと記憶している。ところが2008年以降は、大幅な減少に転じ、2015年の統計データを見ると31万8千件程まで落ち込んでいる。実に出願件数の約1/4が減少したことになる。弁理士登録者の総数が現在1万人程であるから、単純計算で代理人1人当たり年間30件ほどの出願依頼を受任できる計算となる。実に厳しい環境になったものである。
 国内出願件数が減少している一方で逆に増加しているのが外国出願である。日本のみならず外国出願を行っている出願が、国内出願の3割程になる。そうすると、年間9万件くらいが国内外に出願されており、トータルの出願件数はあまり変化がないとも言える。しかしながら、外国出願費用は主に現地代理人に支払われるため、国内代理人にとって厳しい環境に変わりはないのである。国内代理人にもグローバル化の荒波が押し寄せており、この荒波を泳ぎ切れる者のみが生き残れる時代となったと言える。

弁理士 平井 善博

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